アダルトチルドレン(AC)とは

アダルトチルドレン(AC)とは、「うまく機能しない家庭で育ち、大人になった人」という意味です。

たとえば親がアルコール依存症だったり、ギャンブルや借金の問題があったり、仕事がすべてで親としての役割をとっていなかったり、両親の関係がうまくいっていなかったり、重大な家族の問題が暗黙の秘密とされていた、など。
こうした中で育つ子どもは、問題状況に適応するための行動パターンを身につけて、家庭内で一定の役割を演じるようになります。

こうしたパターンや役割は、子ども時代を生きのびるために役立ちますが、大人になってから「生きづらさ」の背景となることも多いのです。

◆アダルトチルドレンという言葉、どうやって生まれた?

アダルトチルドレン(AC)概念の生みの親は、アメリカのソーシャルワーカー、クラウディア・ブラックです。
それはこんなきっかけで生まれました。

1970年代後半、依存症者の妻たちだけでなく子どもたちにも目を向けようと、アルコール病棟に「子どもプログラム」を作ることにしたクラウディア。
けれどプログラムがスタートしてみると、5~6歳や10 代の子どもに混じって、彼女より年上の30~40代の人たちもやってきたのです。

そこで、小さな子どもたちは「ヤング・チルドレン」のグループ、10代の子どもたちは「ティーンエイジ・チルドレン」のグループと名づけ、大人たちのグループの名称に困った末に「アダルト・チルドレン」グループと呼ぶことにしたのだそうです。

こうした中で、「大人になった子どもたち」が抱える苦しさに、スポットがあたるようになりました。
あんなふうになるまいと思ったのに、親と同じ依存症になっていた人。 配偶者の飲酒問題に悩んでいた人。
がんばりすぎて、限界になっていた人。
人間関係がうまくいかず、うつ状態になっていた人。

子ども時代にとっていた役割や、心に刻まれたメッセージが、大人になっても彼らの生き方を縛っていたのです。 やがて、依存症家庭で育った人に限らず、さまざまな立場の人が自分をACとして見直すことで、人生を変えていくチャンスを得るようになりました。

◆こんなパターンに、心当たりはありませんか?

あなたの中に、下のどれかのパターンが染みついていないでしょうか。 そのことで、苦しくなってはいないでしょうか。

いつも完ぺきで、正しくなければと思っていませんか?

子ども時代と同じ「優等生」役割に縛られていませんか?

ちゃんと責任を果たさなければ!
物事をきちんと処理しなければ!
周囲をうまくまとめなければ!
間違わないようにしなければ!

……そんなふうに思いこんで、リラックスしたり遊んだりするのが苦手になっていませんか?

どうせわかってくれない、と思っていませんか?

「悪い子」と言われて内心で傷ついていた子ども時代のまま、生きていませんか?

がんばってもどうせ無駄だから、物事を投げ出すことが多い。
わざとひねくれた態度に出てしまう。
傷ついたり困ったりすると、相手を攻撃して自分を守ろうとする。

……こんなことを繰り返すうちに、信頼し合える関係づくりが苦手になっていませんか?

いつも一番うしろに引っこんでいませんか?

つい忘れられ、後回しにされてきた子どもの頃のパターンが染みついていませんか?

「私のことなんて気にしなくていいから」

……そんなふうに、常に遠慮してほほえみ、自分からはこうしたいと口にせず、自分が本来持っている力にも気づかずにいるのでは?

冗談にまぎらせていませんか?

家族のムードが険悪になると、おどけたことをやって笑わせていた役割から、今も離れられずにいませんか?

相手が真剣になるほどにジョークでまぎらしてしまう。 自分が悲しかったり怒っていてもストレートに言えない。

……それで損をしていると感じることはありませんか?

気づくと他人の世話ばかりしていませんか?

親のグチを聞いたり、なぐさめたり、なにかと面倒をみてあげた「やさしい子」のまま、今も他人の世話に追われていませんか?

友人の悩み、同僚の困りごと、親族のもめごと、家族の問題、恋人のトラブル。

……次々あなたのもとに押し寄せて、自分のことは二の次になっていませんか?

別のやり方を、今から練習できます

こうしたパターンは、いけないものではありません。
その人なりの味だったり、すぐれた能力として発揮されている場合も多いのです。

ただ、もしあなたが望むなら、いつも同じ役割ではなく、別のパターンで行動することも可能です。

◆アダルトチルドレン――回復の4ステップ

アダルトチルドレン(AC)概念の生みの親であるクラウディア・ブラックは、AC(アダルトチルドレン)の回復プロセスを次のような4段階で説明しています。

ステップ1=過去の喪失を探る

過去を繰り返し語ることで、子ども時代の家族の中にあった問題や、自分の中での喪失に気づき、かかえていた感情を解放する。 これは親を責めることとは違い、あくまで自分自身のための作業。 自助グループや治療の場を活用する、信頼できる相手に話を聞いてもらうなど、安全で自分を受け入れてもらえる場で行なうことが必要。

ステップ2=過去と現在をつなげる

過去の痛みが、現在の自分にどう影響しているかを調べる。 感情レベルではなく冷静に自分を振り返る作業。 自分の過去は、現在の自己イメージにどう影響している? 人間関係にどう影響している? 職場での私・親としての私にどう影響している? ……など。 こうして、自分の中にある課題に気づく。

ステップ3=取りこんだ信念に挑む

過去に取りこんだ「私は○○だ」「○○すべき」「○○であるべき」 といった考え方やルールのうち、自分を苦しめているものを手放す。
そして、別の考え方やルールに置き換える作業をする。

たとえば
「他人の要求になるべく応えるべきだ」→「私はイエス、ノーを自分で決めていい」
「マイナスの感情をもつのはよくない」→「感情は自然にわいてくるもので、いい・悪いはない。すべて自分に大切なことを伝えている」 のように。

ステップ4=新しいスキルを学ぶ

別の考え方やルールのもとで生きていかれるように、これまで学ぶ機会がなかったスキルを学び、練習しながら身につけていく。

たとえば、人間関係の方法、感情の扱い方、自分を大切にする行動、つらさに対処する方法、遊ぶことや楽しむこと、ノーを言うこと、他人からの言葉の攻撃をまともに受けない方法……など。

ステップ1~2は治療の場や自助グループで行なうこともできますし、本を読んだりノードに書きだして取り組む人もいます。

多くの人にとって難しいのは、ステップ3以降に進むこと。
これまで長年続けてきた生き方のパターンを点検し、変えていく必要があるからです。

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