■AA(アルコホーリクス・アノニマス)

アルコール依存症の自助グループ。
アメリカで始まり世界に広がった。
回復のプログラム「12のステップ」を用いる。
全国各地でミーティングが行なわれており、原則として依存症者本人だけの「クローズド・ミーティング」だが、本人以外も参加できる「オープン・ミーティング」もある。


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■AC Adult Children/Adult Child

もともとは、アルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人のこと(ACoA=Adult Children of Alcoholics)。
日本では、ACoDの意味で使われることが多い。

AC概念は1970年代後半のアメリカで生まれ、クラウディア・ブラック著『私は親のようにならない』が世界的なACムーブメントを引き起こした。
同書が提起したのは、依存症の親に代わって責任を負う「いい子」たちが、成人後に自ら依存症となったり、うつやバーンアウトに苦しんだり、依存症者の配偶者となっている「世代連鎖」の問題である。

ブラックはその背景として、依存症家庭における「話すな。信頼するな。感じるな」という暗黙のルールを指摘。
子ども時代に身につけた信念や行動パターン(共依存のパターン)を、新しい信念や行動に置き換える「回復・成長」への道筋を示した。

日本では、1983年に初のアラノンACグループが誕生。
90年代には依存症領域を通じて各地にACグループが育ち、同時にACoDへと概念が拡大。

90年代後半にはマスコミにも取り上げられて「大人子ども」「責任を親に転嫁する」といった誤解もはらみつつ、ブームが過熱した。

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■ACoD Adult Children of Dysfunctional Families

何らかの問題によって健康で柔軟な機能が損なわれた家庭(機能不全家族)に育ち、大人になった人。

AC概念を、依存症以外の問題を持った家族にも広げたもので、日本ではACというと、この意味で使うことが多い。

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■AC(アダルトチルドレン)にとってのライフスキル

子ども時代に学ぶ必要のあるスキルは――
*助けを求める
*ノーと言う
*適切に感情を表現する
*自分の望みを言葉にする
*遊ぶ、楽しむ、笑う
*話を聴く
*自分から行動を起こす

成長するにつれて徐々に学んでいくスキルは――
*自分に責任をもつ
*問題解決
*交渉
*決断
*対等な関係を育てる
*親密な関係を育てる
*望みを実現するため行動する
*ストレスに健康的に対処する

こうしたスキルは、大人になっても学ぶことができる。
(クラウディア・ブラック著 『子どもを生きればおとなになれる』 より)

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■AC(アダルトチルドレン)の5つの役割

ACは、原家族の中で身につけた役割に縛られることが多い。
その役割とは――

*ヒーロー(優等生)
家族の名誉を守るため、周囲に認められるような「いい子」でいようとする。家族の問題をなんとか管理しようと必死の努力をする。

*スケープゴート(身代わり)
トラブルを起こすことで、少しでも目を向けてもらおうとする。この問題行動は、家族のSOSを外に向かって代弁する役目も果たす。

*ロスト・チャイルド(いない子)
気配を消すことで家族の安定に貢献する。感情や要求を表わさず、自分の周囲にバリアを張って、火の粉からかろうじて身を守る。

*クラウン(道化師)
おどけた愛らしいしぐさや、冗談にまぎらすことで、家族の緊張を緩和する。自分自身の心の痛みも、道化師の仮面の下に覆い隠す。

*ケアテイカー(世話役)
他の家族のニーズに応え、なぐさめたり、愚痴を聞いたり、相手の望みをキャッチして行動する。誰かの役に立つことで自分の安定を保つ。

(『Be!』増刊号№.18『ACの生きる力!』 より)

なお別の言い方として「リスポンシブル・チャイルド(責任を負う子)」「アジャスター(順応し耐える子)」「プラケイター(家庭内ソーシャルワーカー)」「アクティング・アウト(問題児)」もある。

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■AC(アダルトチルドレン)の回復4ステップ

クラウディア・ブラックは、ACが回復の課題に取り組むために、次の4ステップを提唱している。

ステップ1 過去の喪失を探る 
子ども時代の家族の中にあった問題を明らかにする。そこでは何が起きていて、子どもの自分は何を失い、何を感じていたのか、安全な場で語る。

ステップ2 過去と現在をつなげる
過去の痛みが現在の自分(自己イメージ・人間関係・仕事・子育てなど)にどう影響しているかを、点検する。自分の中にある課題に気づく。

ステップ3 取りこんだ信念に挑む
「○○すべき」と思い込んできたルールのうち、今の自分を苦しめるものを手放し、別のものに置き換える。

ステップ4 新しいスキルを学ぶ
子ども時代に学べなかったライフスキル(人間関係・境界・感情表現・セルフケアなど)を、練習しながら身につける。

(クラウディア・ブラック著 『子どもを生きればおとなになれる』 より)

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■ALDH2

アセトアルデヒドを酢酸に分解する際に働く酵素がALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)。
中でもALDH2は、アセトアルデヒドが低濃度でも働くのが特徴。

ALDH2が活性化しない体質の人は、アセトアルデヒドの濃度が上がらないと分解が行なわれないため、この物質による悪影響を受けやすい。

黄色人種では生まれつきALDH2が正常に活性化しない人がかなりの割合存在し、いわゆる「飲めない体質」である。

なお、ADH(アルコール脱水素酵素)はアルコールからアセトアルデヒドが作られる際に働く酵素。
⇒体質の違いとは
⇒アセトアルデヒド
⇒ASKアルコール体質判定セット

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■ARP

アルコール依存症リハビリテーション・プログラム。

離脱症状などの身体治療を行なった後の、集団療法を中心とした依存症治療プログラムのこと。
また、アルコール関連問題(Alcohol Related Problems)の略として使われることもある。

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■AUDIT Alcohol Use Disorders Identification Test

アルコール使用障害同定テスト。
Alcohol Use Disorders Identification Testの頭文字をとっている。

WHOがスポンサーとなり作成され、ブリーフ・インタベンションの対象者をスクリーニングするのに用いられる。
「危険な飲酒」や「アルコール依存症」のカットオフ値を定めていないことが特徴で、使用される場によりカットオフ値を変えることができる。

⇒アルコール症スクリーニングテスト(久里浜医療センターのサイト)

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■CAGE

4項目からなる簡便なテスト。英語の設問の頭文字をとって名づけられている。

1. 飲酒量を減らさなければと感じたことがありますか? (Cut down)
2. 人から飲酒を非難されて、気に障ったことがありますか? (Annoyed by criticism)
3. 自分の飲酒に後ろめたさを感じたことがありますか? (Guilty feeling)
4. 神経を落ちつかせたり、二日酔いを治すために迎え酒をしたことがありますか? (Eye-Opener)

[判定方法] 
2項目以上あてはまる場合は、アルコール依存症の可能性がある

⇒スクリーニングテスト

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■DV(ドメスティック・バイオレンス)

配偶者や恋人からの暴力。
2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(いわゆるDV防止法、2007年改正)が制定された。

被害者の申し立てにより保護命令が発令され、6ヵ月間の接近禁止命令や同居する住居からの2ヵ月間の退去命令などが出される。
ただし欧米や韓国などと違い、DVがあっても被害者が告訴しない限り加害者は逮捕されず、保護命令にも申し立てが必要。

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■DVの本質と、その種類

DVは身体的暴力だけでなく、下記にあげるものを含む。
問題の本質は行為そのものよりも、その核にある「力による支配」である。
身体的・経済的・社会的なパワーの差を背景に、男性から女性に向けての暴力が圧倒的。

*身体的暴力 殴る、蹴る、平手打ち、突き飛ばす、物を投げつける、刃物で刺す、など。

*精神的(心理的)暴力 ののしる、大声で脅す、蔑視した言動、無視、大切にしている物を壊す、など。

*経済的暴力 仕事に就くことを禁止する、生活費を渡さない、お金の使い方を細かくチェックする、「誰のおかげで暮らしていけるんだ」と言う、など。

*性的暴力 性行為を強要する、避妊に協力しない、性的な映像や雑誌などを見ることを強要する、など。

*社会的暴力 外出や交友関係の制限、行動の監視、電話や手紙や手帳のチェック、など。

※ただし法律上で扱われるDVは、国際的にも、身体的な暴力や、その脅しが中心。
日本のDV防止法におけるDVの定義には「心身に有害な影響を及ぼす」精神的暴力も含むが、保護命令の対象は、身体的暴力や、その脅しを受けた場合。

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■FAS Fetal Alcohol Syndrome

胎児性アルコール症候群。

胎児期のアルコール曝露(さらされること)により、
①身体発育の遅れ、②顔貌の特徴、③神経発達上の障害(脳への影響)の3つが認められるもの。

発育の遅れや顔貌の特徴は成長に伴い目立たなくなる場合も多いが、脳への影響は生涯にわたり、さまざまな行動障害として現われる。
早期支援で二次障害を防ぐことが大切。

なお、FASの診断基準を満たさないが、胎児期や出生後にアルコールによる影響が見られるものは、FAE(胎児性アルコール作用 Fetal Alcohol Effect)と呼ばれ、「胎児性アルコール効果」とも訳される。

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■FASD Fetal Alcohol Spectrum Disorder

中枢神経への影響の表われとして、刺激に敏感、幼児期からの多動傾向、原因と結果のつながりがわからない、集団への適応の問題などがあげられる。

FASにともなう顔つきの特徴や発育の遅れがみられない場合、行動障害があっても外見上はわからないため、周囲に理解されにくいという難しさもある。

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■GA【NEW】

ギャンブル依存の自助グループ。
回復のプログラム「12のステップ」を用いる。
全国各地でミーティングが行なわれており、原則として依存症者本人だけの「クローズド・ミーティング」だが、本人以外も参加できる「オープン・ミーティング」もある。

 

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■I(わたし)メッセージ・YOU(あなた)メッセージ

I(わたし)メッセージは、自分を主語にして気持ちを伝えるやり方。
たとえば「そんなふうに言われると、私は悲しい(さびしい・腹が立つ・がっくりしてしまう……)」のように。

逆に、相手を主語にした「そんな言い方をするなんて、あなたはひどい(思いやりがない・考えが足りない・勝手だ)」のような言い方を、「YOU(あなた)メッセージ」と呼ぶ。
YOUメッセージの背景には、被害感情・べき思考・コントロールなどが存在する。
背後にあるものに気づくことで、他人からのYOUメッセージによる批判を手放すことができる。

また、円滑なコミュニケーションのためには、自分が発するYOUメッセージに気づき、背後にある感情や願望をIメッセージとして伝える練習が役立つ。
(通信セミナーⅡ 「わたしメッセージ」と感情 より)

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■KAST

久里浜式アルコール症スクリーニングテスト。日本人向け。
2003年に改定された。 点数の重みづけをなくし、男女別になっている。

⇒アルコール症スクリーニングテスト(久里浜医療センターのサイト)

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■Motivational Interviewing(MI)動機づけ面接

考え方や行動の変化を促すための面接スタイル。

1980年代、問題飲酒への行動療法アプローチの中で始まり、90年代に臨床技法として体系化された。
クライエントのアンビバレンツ(本当に望んでいるものと現実の行動との矛盾など)に焦点を当てるような「聞き返し」をはじめ、変化を促すために効果が認められたカウンセリングのスタイルの集大成でもある。

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■NA【NEW】

薬物依存の自助グループ。
回復のプログラム「12のステップ」を用いる。
全国各地でミーティングが行なわれており、原則として依存症者本人だけの「クローズド・ミーティング」だが、本人以外も参加できる「オープン・ミーティング」もある。

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■OA(オーバーイーターズ・アノニマス)【NEW】

摂食障害の自助グループ。
回復のプログラム「12のステップ」を用いる。
全国各地でミーティングが行なわれており、原則として依存症者本人だけの「クローズド・ミーティング」だが、本人以外も参加できる「オープン・ミーティング」もある。

 

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■PTSD Post Traumatic Stress Disorder

心的外傷(=トラウマ)後ストレス障害。

死の恐怖や重傷、性的暴力をともなう出来事の体験や目撃による、精神的な後遺症。
支援する立場でこうした体験に繰り返しさらされる場合も含む。

症状は次の4種類とされる。
*再体験 その体験が今再び起きているかのように感じたり行動する(フラッシュバック)、悪夢、など。
*回避 その体験についての記憶や感情を避ける、その体験を思い起こさせるような場所や状況を避ける、など。
*認知と気分の陰性の変化 否定的な信念、マイナスの感情が続いたりプラスの感情を体験できない、など。
*過覚醒 攻撃性や怒り、過剰な驚愕反応、集中困難、睡眠障害、など。

⇒複雑性PTSD

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■SBIRT(エスバート)

Sはスクリーニング、BIはブリーフ・インタベンション、RTは治療機関への紹介。

スクリーニングテストを実施して、問題飲酒者には簡易介入を行ない、依存症の疑いがあれば専門医療につなぐ技法。
最近、末尾に「S=自助グループへの紹介」を加えて「SBIRTS(エスバーツ)」とする技法も日本で提唱され始めた。

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■SBIRTS(エスバーツ)

三重県の猪野亜朗医師がSBIRT(エスバート)の最後に「S=自助グループへの紹介」を加えて提唱した技法。

専門治療を開始した患者に、自助グループのメンバーから直接招待を受ける場面を作ることで、自助グループにつながる率が飛躍的にアップした。

具体的には、三重県と愛知県で、外来診療後に断酒会員と電話で話す方式や、病棟で退院前の患者のもとに断酒会員が訪問する方式が始まっている。

治療機関で自助グループのミーティングや例会が行なわれていても、そこに患者の一人として参加するだけでなく、会員から直接「あなたを待っていますよ」と招かれる意味が大きいという。
(『Be!』127号 記事より)

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■TFT(Thought Field Therapy 思考場療法)

アメリカのロジャー・キャラハン博士が創始した、東洋医学の「経絡」を取り入れた心理療法。

一定の手順に従い自分の指でツボをタッピングすることにより、不安やストレスなどによって身体にわきおこる反応をしずめる。

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■アイ・メッセージ

「そんなふうに言われると、私は悲しい(さびしい・腹が立つ・がっくりする)」のように、 自分を主語にして気持ちや考えを伝えるやり方。

逆に相手を主語にした 「そんな言い方をするなんて、あなたはひどい(思いやりがない・考えが足りない・勝手だ)」 のような言い方を、「あなたメッセージ」と呼ぶ。

通信セミナーII」では、「わたしメッセージ」と「あなたメッセージ」とが 相手に伝えるものの違いや、「あなたメッセージ」の背景にあるもの (被害感情・べき思考・コントロールなど)に注目しながら、 自分自身の感情を受けとめて「わたしメッセージ」として伝える練習をしていく。

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■アサーティブ・トレーニング

自分も相手も大切にした人間関係をめざす「アサーティブネス」の考え方に基づいたコミュニケーションの練習法。

対等な立場で、率直、誠実に自分を表現する方法を、ロールプレイを通じて身につける。自分自身の気持ちをすくい上げて、伝えたいことを「絞り込む」作業も含まれる。
1950年代の心理学から始まり、1960年代以降のアメリカで人権擁護の思想と運動を土台として発展。

⇒書籍 伝えてますかあなたの気持ち?チャコのアサーティブ講座
⇒電子書籍 伝えてますかあなたの気持ち?チャコのアサーティブ講座
⇒アサーティブとは

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■アセトアルデヒド

アルコールの代謝過程でできる毒性の強い物質で、顔面の紅潮、頭痛、動悸、吐き気などを引き起こす。
いわば「悪酔いのもと」。

⇒体質の違いとは
⇒ALDH2

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■アディクション(嗜癖)

特定の対象への耽溺、熱中、熱狂的な傾倒を意味する英語。
欧米の治療・援助分野では、アルコール・薬物依存を指すことが多い。

A・W・シェフは1987年に『When Society Becomes an Addict』(邦訳93年『嗜癖する社会』)において、脳に作用する物質へのアディクションと共通のメカニズムをもった状態として、ギャンブル・ショッピング・仕事など「プロセス(行動過程)アディクション」、さらに依存症者との関係や恋愛など「人間関係アディクション」を提唱した。

この概念が日本では1990年代に急速に広まり、さまざまなアディクションからの回復や援助の試みがスタート。
また隣接領域の問題として、子どもの虐待、DVなどについても、アディクションと家族システムの視点を基本にしたアプローチが始まった。

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■アディクト

アディクション(嗜癖)の問題を抱えた人。
依存症者。

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■アノニマス/アノニミティ

アノニマスは「無名の、匿名の」と訳され、名詞形がアノニミティ。
AA(アルコホーリクス・アノニマス=無名のアルコール依存症者の集まり)をはじめ、12ステップ・グループではアノニミティを採用している。
具体的には、ミーティングなどの集まりで本名を名乗らなくてよいこと。また、グループのメンバーとして公の場に出る場合、フルネームを名乗らないこと。
これによって、メンバーのプライバシーやメンバー間の対等性を守り、同時に、個人が社会的に注目されることやグループの意向を個人が代弁しようとするなどの危険を防ぐ。


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■アファメーション

肯定的な宣言。
自分を苦しめるような思いこみや信念を健康的な信念に変えていくため、言葉にして自分に宣言すること。

たとえば「私には愛される価値がある」「自分を大切にしていい」「完ぺきでなくていい。間違っていい。すべての人に好かれる必要はない」など。

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■アメシスト

断酒会で女性会員を呼ぶ言葉。
ギリシャ神話で「泥酔から守ってくれる」宝石とされていることからきている。

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■アルコール関連問題 Alcohol Related Problems

1979年にWHO(世界保健機関)が提唱した概念で、アルコールの摂取によって生じるすべての問題を包括。

アルコール依存症や肝臓疾患など「個人の健康への害」にとどまらず、飲酒運転、家族問題(DVや子どもの虐待など)、社会経済上の問題(産業事故や長期欠勤による損失、医療費の増大など)、犯罪(殺人、傷害、窃盗などの軽犯罪)まで多岐にわたる。

2010年5月、WHOは「世界で250万人がアルコールに関連した原因で死亡」「アルコールの有害な使用はすべての死の3.8%を占める」として「アルコールの有害使用の低減世界戦略」を全会一致で採択。

保健医療の対応、飲酒運転対策、アルコールの入手規制、マーケティングの規制など、10の分野で加盟国への選択肢を提示し、定期的な報告を求めている。

⇒日本のアルコール関連問題の現状
(アル法ネットのサイト)

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■アルコール健康障害対策基本法

不適切な飲酒による健康障害とそれに伴う家族問題・社会問題の発生・進行・再発を防止するため、基本理念や責務等を明確にした法律。

アルコール関連の3学会・全日本断酒連盟・ASKなどが設立した「アル法ネット」が制定を働きかけ、超党派の「アルコール問題議員連盟」の尽力により2013年12月に成立。

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■アルコール健康障害対策推進基本計画【NEW】

いわゆる国の「基本計画」。
アルコール健康障害対策基本法の第12条に定められているもの。同法の施策の基本を定めたもので、2015年5月に策定された。少なくとも5年ごとに見直すこととされている。

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■アルコール健康障害対策推進計画【NEW】

いわゆる都道府県の「推進計画」。
アルコール健康障害対策基本法の第14条に定められているもの。各都道府県が、同法を基本としつつ地域の実情に即した施策を定める。
2016年5月に策定された国の「基本計画」では、2020年度までに全都道府県での推進計画の策定が目標となっている。

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■アルコール使用障害

アルコール依存とアルコール乱用をひとくくりにした概念。

アメリカ精神医学会の診断マニュアル「DSM」では従来、「物質使用障害」の項目中に「物質依存」の診断名と「物質乱用」の診断名とを設けていたが、13年ぶりの改訂となった「DSM‐5」では両者の区別をなくした上で「アルコール使用障害」「大麻使用障害」「精神刺激薬使用障害」などの診断名としている。

わが国の精神科診断は公的にはWHOの国際疾病分類が使われているため、今のところ、使用障害の診断名が医療現場で使われる例は少ないようだが、アルコールに関して「依存」と「乱用」の線引きをなくす考え方は、賛否両論を巻き起こしている。

メリットとして挙げられているのは、乱用段階まで含めることで早期介入の後押しになる可能性、偏見がしみついた依存症という病名より使用障害の方がスティグマを引き起こしにくい可能性など。

デメリットとして挙げられているのは、「断酒」「節酒」の混在により治療現場や自助グループが混乱する懸念、問題を使用者の責任に帰してしまい物質自体の依存性を見えにくくする懸念、など。

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■アルコール精神病

酒が抜けるときの離脱症状のような依存症に伴う一過性の症状群とは別に、大量飲酒により引き起こされた知覚・記憶・状況把握などに関する障害を総称したもの。

ウェルニッケ・コルサコフ症候群、アルコール幻覚症、アルコール性認知症などがこれにあたる。

ただし、振戦せん妄を含めアルコール依存症によって生じた病的状態一般を指すこともあり、定義には議論がある。

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■アルコホーリクス・アノニマス(AA Alcoholics Anonymous)

(アルコホーリクス・アノニマス)アルコール依存症の自助グループ。

アメリカで始まり世界に広がった、日本でも全国各地でミーティングが行なわれている。
原則として依存症者本人だけのクローズドだが、本人以外も参加できる「オープン・ミーティング」もある。

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■アルコール・薬物依存症

飲酒や薬物使用をコントロールできなくなる病気。

有害な結果が出ているのに使用を続け、意志の力では行動の制御ができない。
専門的な治療・援助によって断酒・断薬し社会復帰することが可能。

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■アルコール・薬物依存症の回復プロセス

1.移行期
周囲からの介入などで、自分自身の問題に直面、治療や自助グループに出会うまでの時期。
課題は「自分は依存症ではない」という否認を乗り越えること。

2.回復初期
断酒・断薬後、心身の不調におそわれたり、自信過剰になったりと不安定な時期。
課題は、「一人でやめられる」という否認を乗り越える、酒や薬なしで不調を乗り切る、仲間とのつながりを作る、しらふの生活パターンを作る、など。

3.回復中期
しらふの生活が軌道に乗り、家族や周囲の人間関係の建てなおしに向かう時期。
課題は、バランスある生活スタイルを確立する、ストレスを健康的に乗り切る、など。

4.発展期 自分自身の生き方や価値観を見出し、成熟へと向かう時期。
課題は、自分を受け入れる、他人を受け入れる、人生の変化を受け入れる、など。
ACとしての課題に取り組む人も多い。

(ASKアルコール通信講座 より改編)

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■アルコール・薬物依存症の診断ガイドライン

過去1年間のある期間に、次の項目のうち3つ以上がともに存在した場合に、依存症の確定診断をくだす。
(WHOの診断基準『ICD-10』より改編。わかりやすいよう「物質」をアルコール・薬物と置き換えている)

(a) アルコール・薬物を摂取したいという強い欲望あるいは強迫感。
(b) アルコール・薬物使用の開始、終了、あるいは使用量に関して、摂取行動を統制することが困難。
(c) 使用を中止もしくは減量したときの生理学的離脱状態。離脱症候群の出現や、離脱症状を軽減するか避ける意図でアルコール・薬物(もしくは近縁の物質)を使用することが証拠となる。
(d) はじめはより少量で得られたアルコール・薬物の効果を得るために、使用量を増やさなければならないような耐性の証拠。
(e) アルコール・薬物のために、それにかわる楽しみや興味を次第に無視するようになり、アルコール・薬物を摂取せざるを得ない時間や、その効果からの回復に要する時間が延長する。
(f)明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、依然としてアルコール・薬物を使用する。

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■アルハラ(アルコール・ハラスメント)

飲酒にまつわる人権侵害。

次に挙げる行為はいずれもアルハラとなる。
①飲酒の強要(心理的圧力も含む)
②イッキ飲ませ
③意図的な酔いつぶし(吐いたり泥酔することを想定し場を準備することも含む)
④飲めない人への配慮を欠くこと(宴席に酒類以外の飲み物を用意しないことも含む)
⑤酔った上での迷惑行為

⇒[DVD]STOP!アルコールハラスメント《文部科学省選定》
⇒[冊子]STOP!アルコールハラスメント-死をまねく急性アルコール中毒を防ぐ

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■一次予防・二次予防・三次予防

アルコール健康障害の一次予防とは「発生防止」で、教育や啓発活動、酒類の販売・宣伝に関する規制など。

二次予防は「進行防止」で、早期発見や介入、そのための人材育成など。

三次予防は「再発防止」で、依存症治療と社会復帰支援、家族ぐるみの回復支援など。

以上はASKの活動の三本の柱でもある。

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■一日断酒・今日一日

「一日断酒」とは、断酒は「飲まずにいる一日」の積み重ねであることを示した断酒会の言葉。
AAでは「今日一日」という。

依存症者が「一生酒をやめる」と言葉で誓っても、病気の力には勝てない。
ともかく今日は飲まない行動を選び、飲酒欲求を明日に引き延ばしする。
明日になればまた新しい一日の断酒が始まるという考え方。

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■イネイブラー enabler

イネイブリングをする人のこと。

家族や親族のみとは限らず、治療・援助者、職場などの組織、地域、そして社会そのものが「問題を見えなくさせる」イネイブリングの構造をもち、イネイブラーとなっている場合も少なくない。

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■イネイブリング
本人のためを思っているつもりが、結局は病気(問題)の進行を支えてしまう行動のこと。 酒・薬物を捨てたり隠す、行動を監視する、説教し責める、飲酒・薬物使用のためのお金を与える、トラブルを始末する、など。 責任を肩代わりすることで、本人が問題に向き合うことを難しくする。 トップに戻る
■医療保護入院/措置入院

医療保護入院は、精神保健指定医一名が医療・保護のため必要と認めた場合、本人の同意がなくても保護者(家族等)の同意により行なわれるもの。
保護者の同意がすぐに取れない場合の応急(保護)入院もある。

措置入院は、精神保健指定医二名が「自傷他害の怖れあり」と判断した場合に、都道府県知事や政令指定都市市長の命令により入院させるもの。
指定医一名による緊急措置入院もある。
措置入院の場合、入院費の自己負担分は原則として公費でまかなわれる。

なお、患者の同意にもとづく入院は任意入院と呼ぶ。

これらと別に「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)の指定医療機関では、触法精神障害者の医療観察法入院や鑑定入院がある。

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■インタベンション

介入のこと。

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■インテーク

治療開始にあたり、スタッフが本人の病歴・生活歴・家族歴などを聴きとること。

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■インナーチャイルド

内なる子ども。
自分の記憶の中にある、幼い頃の自分。

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■インナーチャイルド・ワーク

イメージ誘導などによってインナーチャイルドと出会うワーク。

子ども時代の自分の感情や痛みを大人として受けとめ、自分自身を大切にする実感をつかんでいく。

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■埋め合わせ

12のステップ」のステップ9にあたる。

依存症の回復プロセスで、飲んでいたとき(薬を使っていたとき)周囲に与えた傷や負担をつぐなう作業。
ステップ8では、その準備として、かつて傷つけた人のリストを作る。


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■エゴグラム

交流分析の理論をもとに、心理学者ジョン・デュセイが開発した自己分析法。

5つの自我状態で日頃の考え方や行動をチェックする。

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■エゴグラムで測る5つの自我状態

*CP(Critical Parent)
批判的な親……理想/責任感/価値観/倫理/秩序の維持/指示/罰

*NP(Nurtuing Parent)
保護的な親……共感/思いやり/愛情/傾聴/受容/世話/親切/同情

*A(Adult)
大人……観察/情報収集/客観視/分析/検討/判断/意思決定

*FC(Free Child)
自由な子ども……自然/快感/欲求/楽しさ/明るさ/直観/創造性

*AC(Adapted Child)
順応した子ども……従順/いい子/感情を抑える/恐れ/不安/反抗

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■エスバート(SBIRT)

Sはスクリーニング、BIはブリーフ・インタベンション、RTは治療機関への紹介。 スクリーニングテストを実施して、問題飲酒者には簡易介入を行ない、依存症の疑いがあれば専門医療につなぐ技法。

最近、末尾に「S=自助グループへの紹介」を加えて「SBIRTS(エスバーツ)」とする技法も日本で提唱され始めた。

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■エンパワメント

「力をつける・力を引き出す」こと。

単なる能力アップではなく、自分の責任で行動を選択し、問題解決し、望みを実現できるよう「その人が本来持っている力を発揮できるようにする」という考え方が土台。

一人一人に働きかけるだけでなく、周囲と対等に支えあう関係づくりや、それを可能にする社会システムを創り出すことにも重点をおいた概念。

先住民運動、女性運動、コミュニティへの住民参加などの理論的支柱ともなっている。

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■親子カプセル・母子カプセル

親が子どもに対して適切な境界を持つことができず、子どもにとって健康な成長と自立が困難な、親との密着関係におかれていること。
子離れ、親離れができない癒着した関係。

「母子カプセル」と表現されることが多く、その背景には、父親が仕事やその他の事情で家庭に不在な状況や、夫婦関係の問題といった、日本社会の状況がある。

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■オールドタイマー

「古参」「ベテラン」の意味で、AAなどでは草創期のメンバーあるいは長く回復を続けている人をさす。

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■介入(インタベンション)

一般には、問題・事件・紛争などを解決に導くために、本来の当事者でない者がかかわること。

依存症分野には欠かせない援助で、問題を否認し助けを拒む当事者に対して、一定のノウハウをもって治療や援助を受け入れるよう働きかけること。

また認知や行動の軌道修正を働きかけること。

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■回復

アルコール・薬物、不健康な人間関係や行動に依存しない生き方を身につけていくプロセス。

単に「アルコール・薬物を使用しない」「病気になる以前の状態に戻る」ことではなく、人間的な成長の過程でもある。
⇒アルコール・薬物依存症の回復プロセス

ACが自分の課題に取り組むことも回復プロセスと呼ぶ場合が多い。
ただし、この言葉の使用には異論もある。
⇒AC(アダルトチルドレン)の回復4ステップ

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■解離性障害(解離症)

同一人格としての行動の制御が困難であったり、個人生活の一定部分や一定期間についての想起が困難であったり、複数の人格が自己内に存在するなどして、そのことに苦痛を感じ社会生活上の困難が生じている状態。

トラウマから自己を守る無意識の手段が固定化したものと考えられる。

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■覚せい剤精神病

覚せい剤使用の急性または慢性中毒の症状で、主に幻覚や妄想を主とする精神病状態のこと。

断薬や向精神薬による治療によっていったん症状が改善した後、少量の再使用や飲酒、ストレスなどにより症状の再現(フラッシュバック)が起きることもある。

なお、こうした症状が物質誘発性のものか独立した統合失調症などの症状かは、鑑別診断がむずかしい場合も多い。

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■カサンドラ症候群

発達障害(中でもアスペルガー症候群)をもつ人の配偶者が陥りやすい状態を指すものとして、使われ始めた概念。
ギリシャ神話の悲劇の王女にちなむ。

発達障害からくる不可解な言動に日々直面し、感情の交流がもてなかったり、つらさを訴えても周囲から理解されにくいなどの困難な環境の中で、心身共に消耗していく。

その結果、うつ状態、自尊心の低下、無気力、身体のさまざまな不調などがみられるというもの。

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■家族システム論

1960年代に家族療法から生まれたアプローチ。
その主な研究のひとつとして、アルコール依存症家族を対象としたものがある。

家族システム論の特徴は、問題を抱えた人をIdentified Patient=IP(システムの中で、たまたま症状を出し患者となって現われた人)と見なし、症状・問題はシステムの一部と捉えることである。
その構造や相互作用を見極め、システムの変化を促す介入を行なう。

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■簡易介入

生活習慣の行動変容を目的とした、主に1、2回で終結するカウンセリング。

飲酒問題の場合、まずはスクリーニングを行なって、問題飲酒には減酒支援の簡易介入を行ない、依存症の疑いがあれば専門医療機関につなぐ。

⇒SBIRT

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■感覚過敏

感じやすさが生活上の支障となっている状態で、自閉スペクトラム症(ASD)の人にしばしばみられる。

海外の調査では、ASDの人の70%に音に対する過敏があり、54%に接触に対する過敏、39%に臭いに対する過敏、38%に味に対する過敏がみられた(Bromley et al,2004)。
視覚過敏については、まだ十分なデータがない。

2013年に改訂されたアメリカ精神医学会による診断基準の第五版『DSM-5』では、ASDの診断基準に、感覚の問題が初めて加わった。「感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味」である。

感覚をめぐる問題としては、「感覚過敏・過反応」と言われるもののほか、「低反応」(必ずしも鈍感とは限らず、逆に情報が多すぎて拾い上げられない場合もある)、「感覚探求」(くるくる回る、壁を叩くなど、特定の刺激を求める行動)、さらに前庭覚や固有受容覚が関係する「運動機能の問題」もある。

(『Be!』127号 特集より)

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■γ(ガンマ)GTP

肝臓で働く酵素の一つで、アルコールに非常に敏感に反応して増える性質があるため、血中での値が「飲みすぎによる肝臓への負担」をチェックする目安になる。

一般的に、正常値は男性で50以下、女性で32以下。

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■機能不全家族

長期にわたって何らかの問題の影響を受け、不健康なシステムが固定した家族。

問題への否認、硬直したルール、家族間の境界の混乱、虐待などにより、子どもが成長するために必要な、安全な枠組みや柔軟な機能が損なわれた状態にある。

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■急性アルコール中毒

アルコール摂取による急性症状。

一般には、運動失調・言語失調が進んでからの症状(泥酔段階)を指すことが多い。

⇒酔いの段階

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■共依存 Co-Dependency

もとは「アルコール依存症者の配偶者が陥りがちな状態」を指して、援助の現場で使われた言葉。

アルコール依存症者がアルコールにとらわれているのと同じように、アルコール依存症者をなんとかすることにとらわれている家族の状態を表わした。

やがてそれは、援助者自身を含めて「相手の問題に巻きこまれた状態」や「相手の問題解決に相手以上に必死になっている状態」を広く指すようになる。

さらに、その背景にあるパターンが注目され、「他人のニーズや感情などに注意を奪われて自分自身に焦点が当たっていない生き方」を表わす概念ともなった。

こうした自己喪失の状態や生き方は、人間関係やアルコールの酔い、ギャンブルの高揚で自分を満たそうとするなど、さまざまなアディクションの背景ともなる。

⇒共依存とは

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■境界

自分と他人を区別し、お互いの安全を確保して存在を尊重するために引かれるライン。

夫婦や親子を含め、他者との健康なつながりを保つため欠かせないもの。

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■境界の種類

次のようなものがある。

*尊厳の境界
私の「人としての価値」を、他の人が決めつけることはできない。私には、他人には侵せない尊厳と価値がある。

*感情の境界
私の感情は私のもの。誰かに「こう感じるべき」と指図されない。 感じ方は私の自由。

*身体の境界
私の身体は私のもの。どこまで近づいていいか、触れてもいいかは、私が決める。 他人が乱暴に扱ったり、外見を批判すべきではない。

*時間と空間の境界
私の時間をどう使うかは私が決めること。私が決めたプライベートな時間や空間に、他人が許可なく踏みこむことはできない。

*持ち物・金銭の境界
私の持ち物やお金を、許可なく他人が使うことはできない。 その使い道は私が決めることで、他人に指図されない。

*責任の境界 私のことには私が責任を負う。自分の問題を他の人のせいにしないし、他の人の責任を私が背負いこむこともない。

*性的な境界
私の性は私のもの。他人の道具にされることは許さない。 誰と、いつ、どこまでの性的な関係をもっていいかは、私が決める。

*思考・価値観の境界
私の考えは私のもの。何を信じ、何を優先するかは、自分が選ぶ。 価値観を強制されたり、考え方を否定されたりしない。

(通信セミナーⅠ 境界と人間関係 より)


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■ギャンブル依存

競馬・競輪などの公営競技、パチンコ・パチスロ、麻雀、カジノなど、ギャンブルへのアディクション

日本ではギャンブル依存症の8~9割がパチンコ・パチスロであるとされる。

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■クロス・アディクション

多重嗜癖。
一人の人に複数のアディクションが存在する状態。あるいは、時間を経て依存の対象が別のものに移行すること。

たとえばアルコールと処方薬依存が同時進行する、摂食障害があるところへアルコールと買い物依存が加わる、覚せい剤をやめてアルコールへ、断酒後にギャンブル依存に……など。

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■グリーフワーク

喪失に伴うショックや怒り、哀しみなどの感情を経験しながら、時間をかけて喪失を乗り越えていく癒しのプロセス。
また、このプロセスを支える治療的プログラム。

キューブラ・ロスによる、死を宣告された患者がたどる心理的プロセス研究(否認→怒り→取引→抑うつ→受容)がもとになっている。
身体が自然治癒力をもっているのと同じように、心も喪失の傷から回復する自然治癒力をもっている。
しかし、喪失体験があまりにも突然だったり、傷が深かった場合、また慢性的に繰り返された場合には、このプロセスが滞ってしまう。
そのままにしておくと、怒りや恨み、抑うつ、自責感などに長く留まる。

安全な場で感情を解放するワークを通して、失ったものに別れを告げて明日に向かうプロセスが促進される。

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■グループ・ダイナミクス

一人あるいは一対一では得られない変化が、グループ全体の相互作用によって引き起こされること。

自助グループでは、仲間としての共感や支え合いの中でこれが起きる。

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■グループ・ファシリテーション

会議や研修、グループワークなどの場で、参加者の発言を促し、グループ・ダイナミクスを有効に活用しながら中立の立場で進行・調整を行なうこと。

ファシリテーション(facilitation)とは、「促進する」「容易にする」という意味。

上から下に教え指導する従来の方法論とは違い、力をもっているのはファシリテーターではなく、グループであり、参加者であるととらえる。
ファシリテーターに必要なスキルとして、やりとりの中から気づきを促す、議論を深めたり話の流れを整理するため介入を行なう、合意形成や協働へと導く、などが挙げられる。

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■健康日本21

21世紀における国民の健康づくり運動として、厚生労働省が推進する総合的な健康政策。
2000年に策定され、2008年に一部を改正、2013年度からは全面改正された「健康日本21(第二次)」が適用となった。

「栄養・食生活」「たばこ」「糖尿病」「がん」「アルコール」など9分野で課題を選定し、達成すべき数値目標を定めている。

アルコールに関しては、第一次から引き継がれた指標と、新たに打ち出された指標・数値目標があり、まとめて整理すると以下のようになる。

①節度ある適度な飲酒
1日平均純アルコール20g(1単位/2ドリンク)程度。ただし、女性や体質的に弱い人、高齢者は、より少量。 これは第一次で打ち出された指標で、第二次でも引き続きこの情報を一般に提供することとされた。

②生活習慣病のリスクを高める飲酒
第二次で新たに打ち出された指標。 男性は1日平均純アルコール40g(2単位/4ドリンク)以上、女性は1日平均純アルコール20g (1単位/2ドリンク)以上の飲酒で、生活習慣病(がん、高血圧、脳出血、心臓病、糖尿病など)のリスクが高まる。 現状では男性15.3%、女性7.5%がこれにあたるが、平成34年度までにそれぞれ15%減らし、男性13%、女性6.4%とするのが目標とされている。

③多量飲酒
1日平均純アルコール60g(3単位/6ドリンク)を超える飲酒。 健康問題や社会問題の多くが、この多量飲酒者によって引き起こされていると推定される。 第一次に引き続き、第二次でも低減に向けて努力が求められている。

このほか、第二次では「未成年者の飲酒を34年度までに0%とする」「妊娠中の飲酒を平成26年度までに0%とする」という目標も打ち出されている。

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■原家族

その人が生まれ育った家族、子ども時代の家族のこと。

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■限局性学習症/限局性学習障害=学習面から見た認知の問題

発達障害のひとつで、知的には問題がないが、読み・書き・計算の一部だけができないなど、学習能力の著しい偏りがあるもの。

⇒発達障害

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■抗酒剤

アルコールの分解過程を阻害することにより、飲酒すると不快な症状が現われるようにする薬。

服用することで「今日は飲まない」と自覚する助けとして使われる。
シアナマイド(一般名シアナミド)、ノックビン(一般名ジスルフィラム)などがある。

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■交流分析

1950年代にアメリカの精神科医、エリック・バーンが提唱した心理療法の理論。

人には「親・大人・子ども」の3つの自我状態があると仮定し、どの自我状態によるストローク(投げかけ)を行なっているかで相互の交流のあり方をみる。

⇒エゴグラム
⇒エゴグラムで測る5つの自我状態

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■子どもの虐待

DVと同様、社会が長い間目を向けてこなかった、家庭内での「力による支配」。

虐待によって子どもが死亡するケースは少なからずあり、たとえ生命の危険がなくても、性的虐待・ネグレクト・心理的虐待のいずれも子どもの心に大きなトラウマを残す。

2000年に制定された「児童虐待の防止等に関する法律」では、子どもの虐待を4つの行為類型として定義している。

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■子どもの虐待 4つの行為類型

「児童虐待の防止等に関する法律」では、身体的虐待や性的虐待だけでなく、ネグレクトや心理的虐待も虐待に含めることを明確に定義している。

*身体的虐待 (児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること)
殴る・蹴る・投げ落とす・首をしめる・縄などで身体を拘束する・熱湯をかける・溺れさせる・タバコの火を押しつける・冬に戸外に締めだす、など。

*性的虐待 (児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること)
子どもに対する性的な接触、性的行為の教唆、ポルノグラフィの被写体にする、性器や性交を見せる、など。

*ネグレクト (児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による虐待の放置など)
衣食住の適切な世話をしない、子どもの意思に反して登校させない、深刻な病気でも受診させない、乳幼児を家に残して外出を繰り返す、乳幼児を車に放置する、など。

*心理的虐待 (児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力、その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと) 「お前なんか産まなければよかった」と繰り返す、言葉で脅す、無視する、家庭内にDVが存在する、など。

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■コントロール障害/コントロール喪失

アルコール・薬物の使用や、その他の依存行動に関して、制御が効かない状態のこと。

たとえば、ほどほどで切り上げようと思っていても酔いつぶれるまで飲んでしまう、など。
本人は「今度こそうまく飲める」「自分は問題を起こさずに使える」と思っていても、実際は意志の力や常識的判断によるコントロールを失っている。

これが依存症という病気の本態とも言える。
治療場面ではこれを、「脳のブレーキが壊れた」と説明することがある。そして「ブレーキの壊れた車を降りよう=アルコール・薬物を一切使わない生き方に変えよう」と促す。

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■再飲酒 

アルコール依存症者が断酒したあと、再び飲酒すること。

コントロールを喪失しているため、たとえ一杯の酒でも、もとの病的な飲み方に戻る危険が大きい。

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■再発/リラプス

再飲酒や薬物の再使用を指すこともあるが、そうした行動に至る前の段階を含め「回復から逆行するプロセス」を再発と呼ぶことが多い。

否認が始まる、助けを求めなくなる、感情の揺れが大きくなる、飲む(薬物を使う)ための言いわけを準備する、危険な場所に近づくなど、かつての行動パターンが戻ってきた状態のこと。

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■サバイバー

子ども時代の過酷な家族環境の中で生きのびた人や、心の傷となるような衝撃体験や大きな問題状況を生きのびた人のこと。

自分自身の力を確認する意義で使われる。

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■サービス【NEW】

12ステップ・グループで使われる用語。
グループのための奉仕のこと。
司会、会計など自分が所属するホームグループの役割から、全国規模の委員会まで、さまざまな種類がある。

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■集団療法 集団精神療法 グループセラピー

患者グループと治療者による療法。

20世紀初め、不治の病とされていた結核患者のグループが治療効果を上げたことが、その始まりと言われる。
アルコール・薬物依存症の治療においては、集団療法がプログラムの根幹となる。

社会での偏見や、自らの否認を乗り越えて病気を認め、回復の行動へと踏み出すため、患者同士の相互作用・患者と治療者との相互作用がともに働くグループで、自らの行動や感情を率直に語ることが治療効果をもたらすとされる。

なお依存症のプログラムでは、疾病教育なども含めて広い意味で集団療法と呼ぶことも多い。

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■ショッパホリック/ショッピング・アディクション/買い物依存

衝動的な買い物で高揚感を得ることが習慣化し、コントロールを喪失した状態。

必ずしも買った品物自体を必要とせず、買うという行動プロセスが気分を高揚させる手段となっているのが特徴。

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■処方薬依存

精神安定剤、睡眠導入剤、鎮痛剤などへの依存。

当初から乱用目的で違法に入手し依存に至るケース、医師から処方された薬を多量に服用するなどして乱用から依存に至るケースなど、さまざまある。

後者に関しては、安易な処方の問題も指摘されている。

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■身体依存

アルコール(薬物)が切れると離脱症状が出る状態。

⇒耐性
⇒精神依存
⇒アルコール・薬物依存症の診断ガイドライン

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■心理学的剖検【NEW】

一般に剖検とは病理解剖を指すが、1950年代から、不審死を遂げた人の家族などへの面接により自然死・事故死・自殺・他殺を心理学的に解明する「心理学的剖検」の試みが始まった。現在は自殺の背景を探る手法として各国で活用されている。

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■ジェノグラム

三世代(以上)にわたって家族構成や関係を図示した家系図。

約束事に従い図を描くことで、家族システムや力動が見えやすくなる。
問題への介入・援助のアセスメントに使われ、治療プログラムの一つとしても使われる。

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■自助グループ

アディクションからの回復プロセスにある人や、共通の課題を抱える人が、自分の体験や気持ちを語り、支えあう場のこと。

批判やアドバイスなどをしない「言いっぱなし、聴きっぱなし」というスタイルをとることが多い。

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■自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)=関係性の問題

発達障害のひとつで、社会性やコミュニケーションを中心とした障害。
アメリカ精神医学会の診断マニュアル「DSM-5」で、従来の広汎性発達障害に替わって採用された概念。

従来の「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などをすべて包含する連続体であり、必要とされる支援のレベルによって重症度を3つに分ける。
重度な場合、感情の交流や意思伝達が困難で、活動や興味の範囲が極度に限定され、特定の行動や習慣に強いこだわりをもつ。

軽度な場合、あいまいな表現や言外の意味を汲み取るのが苦手、行動に柔軟性がない、など。

⇒発達障害

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■12のステップ

AAが提案する回復のプログラム。

薬物依存症の自助グループ「NA」、ギャンブル依存症の「GA」、摂食障害の「OA」、性依存症の「SA」、買い物依存症の「DA」、感情や情緒の問題をテーマにした「EA」などでも、それぞれのテーマに焦点をあてた12のステップを使っており、こうした自助グループを「12ステップ・グループ」と総称する。

当事者グループだけでなく、アルコール依存症の家族と友人の集まり「アラノン」、薬物依存症の家族と友人の「ナラノン」、ギャンブル依存症の家族と友人の「ギャマノン」などでも12のステップを使っている。

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■12の伝統【NEW】

12ステップ・グループが本来の目的から外れず、一体性を保ち続けるために使われているルール。

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■重複障害【NEW】

たとえば、アルコール依存と双極性障害、薬物依存と統合失調症など、2つの症状が併存する状態のこと。
これには3つのタイプがある。
●アルコールや薬物の使用によって精神症状が誘発された、いわば依存症先発のタイプ。
●もともと何らかの精神疾患あるいは発達の凸凹があり、それによってアルコール・薬物への依存が進行するリスクを高めていった、依存症後発のタイプ。
●同時進行・併発のタイプ。

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■自律訓練法

1930年代にドイツの精神科医シュルツが催眠療法から開発した自己暗示によるリラクゼーション法。

基本の六公式に従って身体の各部分に暗示を与えていく。

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■スキーマ療法

認知の底流にある「スキーマ」を扱う療法で、認知行動療法の進化版といえる。

アメリカの心理学者、ジェフリー・E・ヤングが考案。
スキーマ(schema)とは図式・概要といった意味を持つ英語で、ここでは、認知の枠組みとなる、価値観・ルールなどをさす。

生きづらさを作り出している不適応的なスキーマの存在に気づき、その影響力を弱めるとともに、自分が幸せになれるようなスキーマを増やしていく。

⇒『心の体質改善 スキーマ療法 自習ガイド (アスクセレクション01)』
⇒『Be!』121号 特集 生きづらさのクセを変える「スキーマ療法」って何?
⇒『Be!』122号 スキーマ療法《事例編》自分を苦しめるパターンがこう変わる!

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■スクリーニングテスト

一定集団の中で、特定の病気の疑いが高い人を選別するテスト。
アルコール依存症については、以下のものが使われている。

*KAST
久里浜式アルコール症スクリーニングテスト。
日本人向け。2003年に改定された。 点数の重みづけをなくし、男女別になっている。

*CAGE
4項目からなる簡便なテスト。
英語の設問の頭文字をとって名づけられている。
1. 飲酒量を減らさなければと感じたことがありますか? (Cut down)
2. 人から飲酒を非難されて、気に障ったことがありますか? (Annoyed by criticism)
3. 自分の飲酒に後ろめたさを感じたことがありますか? (Guilty feeling)
4. 神経を落ちつかせたり、二日酔いを治すために迎え酒をしたことがありますか? (Eye-Opener)

[判定方法] 2項目以上あてはまる場合は、アルコール依存症の可能性がある

*AUDIT
アルコール使用障害同定テスト。
Alcohol Use Disorders Identification Testの頭文字をとっている。

WHOがスポンサーとなり作成され、ブリーフ・インタベンションの対象者をスクリーニングするのに用いられる。
「危険な飲酒」や「アルコール依存症」のカットオフ値を定めていないことが特徴で、使用される場によりカットオフ値を変えることができる。

⇒アルコール症スクリーニングテスト(久里浜医療センターのサイト)

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■ストレス・マネージメント(ストレス管理/対処)

自分のストレス状態に気づき、健康的な方法で対処したり、過剰なストレスを予防するための行動をとること。
また、ストレスを良い方向に活かすこと。

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■スピリチュアリティ

「12のステップ」の最後に「霊的に目覚め」として出てくる概念。
霊性と訳される。

意味としては「全身全霊で」というときの「霊」のニュアンスが近い。
この世界や自然とつながっている感覚、自分を超えた力に「ゆだねる」感覚、生きているのではなく「生かされている」感覚など。

依存症は「スピリチュアルな病」とも言われ、孤立の中で周囲との関係を失い、生きがいや価値観を見失い、自分を見出せなくなる。

スピリチュアルな回復とは、こうしたつながりを取り戻していく人間的成長のプロセスでもある。

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■スポンサーシップ

「12のステップ」の回復プログラムにある、相互援助のシステム。

より経験のあるメンバー(スポンサー)に助言や提案を示してもらう。

助言を受ける側をスポンシーと呼ぶ。

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■スリップ【NEW】

再飲酒のこと。
NAでは薬物の再使用を「リラプス(再発)」と呼ぶことが多い。

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■スーパーバイズ スーパービジョン

治療・援助職が仕事上の課題を整理したり、技能を高めるための専門的な助言。

厳密にはスーパーバイザーとの契約のもとで定期的、系統的に行なわれる。

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■精神依存

アルコール(薬物、ギャンブルその他、依存の対象)がないと物足りなさを感じる、リラックスしたり落ちこんだ気分を上向かせるのにアルコール(薬物、ギャンブルその他、依存の対象)が欠かせない、生活の中で飲酒(薬物使用、ギャンブルその他、依存行動)が他のことより優先される、などの状態。

⇒耐性
⇒身体依存
⇒アルコール・薬物依存症の診断ガイドライン

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■世代連鎖・世代伝播

原家族の問題が、次の世代へと引き継がれていくこと。

依存症者の子どもが依存症になったり、依存症者を配偶者に選んだりするなど。DVや虐待の加害者も、子ども時代に虐待を受けていることが多い。

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■セックス依存

不安・落ちこみ・寂しさ・恐れなどの感情や、困難な問題に直面するのを避けるため、セックスや特定の性的刺激を利用し、やがてコントロール不能となった状態。

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■摂食障害

拒食、過食、過食嘔吐がある。

体型への極端な食事制限が続くと、生存を維持するため体内ではさまざまな代替システムが働く。
これが食欲抑制作用を持つと同時に、冴えわたったような感覚を生じさせ、拒食にはまりやすい。
進行すると生命の危険がある。

一方、何かのきっかけで食物への欲求が表面化すると、過食期に入る(リバウンド)。
肥満への恐怖や食べることへの後ろめたさから過食嘔吐に移行することが多い。

拒食を経験せずに過食嘔吐が始まるケースもある。
また、気分を変えるためのむちゃ食いを中心とする過食症のケースもある。

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■セルフ・エフィカシー self-efficacy ⇔無力感

自己効力感。
何かの物事や状況を前にして、「なんとかできるだろう」「自分にはその力がある」と思える感覚のこと。

先天的な性格傾向にもよるが、過去の成功・失敗体験の蓄積に大きく左右される。
課題をクリアし、肯定的評価や示唆を受けることで自己効力感はアップする。

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■セルフ・エスティーム self-esteem ⇔自己否定感

自己信頼・自尊心・自尊感情。
あるがままの自分を、肯定的に受けとめられる心の状態。

社会的立場・能力・経済力・周囲の評価など外からの基準に左右されずに、自分自身の中で自分の価値を感じられること。

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■セルフケア

自分で自分の心と身体の健康管理をすること。

*適切な食事・休息・睡眠・運動などの生活習慣
*自分が楽しむ時間を持つ
*自分の感情を適切に表現したり受けとめる
*ストレスに対処する
*自分を守るための手段をとる
*自分の成長のために時間とお金を使う など自分のニーズ(必要なもの)を満たす具体的な行動。

⇒ACにとってのライフスキル

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■底上げ

「底つき」を早めること。そのための働きかけ。

底つきを待っていては、仕事や家族や命を失いかねない。
依存症になること自体が「酒飲み(薬物使用者)にとっての底つき」なのだ――という考え方が、その底流にある。

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■底つき

依存症が進行し、自ら問題を認めて助けを受け入れざるを得ないようなギリギリの状況に陥ること。

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■ソーバー/ソブラエティ

英語でソーバーは「しらふ」の意味。
AAでは「ソーバー○年」のように飲まずにいる期間のことも指す。
名詞形のソブラエティは単に飲まずにいるだけでなく、しらふの生き方を深める意味でも使われる。
同じく依存対象を離れることを、NAでは「クリーン」、ギャンブルや摂食障害では「アブスティネンス」という。


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■体質の違いとは

飲んだお酒は、体内で次のようなプロセスをへて、体外へ排出されます。
アルコール → アセトアルデヒド → 酢酸と水 → 汗や尿とともに体外へ アセトアルデヒドは猛毒物質で、頭痛や吐き気などを引き起こす「悪酔いのもと」。

この物質の分解を助ける酵素が「ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)2」ですが、日本人の中には、生まれつきALDH2がうまく働かない人がかなりいるのです。

アルコールに対する日本人の体質  
(1)ぜんぜん飲めない族  
(2)ホントは飲めない族  
(3)飲みすぎ注意の危ない族


<ぜんぜん飲めない族>
ALDH2がまったく働かないと…… ほんの少し飲んだだけでも、有毒なアセトアルデヒドが動悸・頭痛・吐き気などの「悪酔い」を引き起こします。
日本人の約1割がこのタイプ。

<ホントは飲めない族>

ALDH2がわずかしか働かないと…… 飲むと顔が赤くなり、もともと悪酔いしやすいのですが、飲酒に慣れるうち「自分は飲める」と思いこむ場合も。 しかし実はアセトアルデヒドの害で肝臓をいためたり、がんになりやすいなどのリスクが。
日本人の約3~4割がこのタイプ。

<飲みすぎ注意の危ない族>
ALDH2がフルに働くと…… 悪酔いせずに飲める分、量を過ごしやすいのです。 アルコール依存症のハイリスク・グループです。
日本人の5~6割がこのタイプ。

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■耐性

アルコール・薬物を繰り返し使用することで、かつてと同じ効果を得るには、より多くの量を使用しなければならなくなる現象のこと。

⇒精神依存
⇒身体依存
⇒アルコール・薬物依存症の診断ガイドライン

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■大麻精神病

精神活動低下による抑制症状、興奮、幻覚妄想、気分や情動の異常など大麻摂取により生じた病的状態の総称。

その多くは使用後一日から数日以内で治まる一時的なものとされ、精神病としての定義には議論がある。

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■たな卸し

「12のステップ」のステップ4にあたり、過去をありのままに書き出す作業をする。

続くステップ5では、書き出したものを信頼できる人と分かち合う。

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■タフ・ラブ

厳しい愛。

本人が問題に直面できなくなるような手出し口出しを控えて、見守ること。

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■脱愛着(デタッチメント)

対象から心理的に距離を置くこと。関わらないこと。

愛着(アタッチメント=対象と情緒的に一体化した状態)の反対語。 依存症者の家族にとっては、相手の問題を手放すという意味に使われる。

共依存からの回復においては、他者の問題と自分自身とを切り離して自分に焦点を当てること。
援助者にとっては、クライエントの問題と自分を切り離し、プロとして健康な境界を保つこと。

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■断酒会

アルコール依存症の自助グループ。

全国各地で例会が行なわれており、家族も参加できる。
断酒会員や家族などが集まり、体験を語る場を断酒例会という。

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■断酒補助剤

レグテクト(一般名アカンプロサート)。

1980年代にフランスで開発され、2013年から日本でも発売。
断酒後に生じる、アルコールへの強い渇望を弱める効果があるとされる。治験でも断酒率が向上した。

ただし、この薬は飲酒欲求をゼロにするわけではなく、動機づけができていない状態で服用しても断酒継続は期待できない。
あくまで従来の心理社会的治療の補助として使われる。

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■注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(AD/HD)=行動上の問題

発達障害のひとつで、不注意・多動性・衝動性を特徴とする。

成長にともない基本症状が消えていくこともあり、特に多動性は10代になるあたりで収まる傾向がある。
衝動性によるトラブルや、不注意による学習面での困難などは長く残りがち。
大人になっても困難を抱えていたり、二次障害を抱える場合も。

⇒発達障害

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■直面化

本人が問題に向き合えるようにすること。
本人を大切に思う感情をベースにしつつ、起きている事実を指摘することが大切。

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■手放す(コントロールを手放す)

依存症者の周囲にいる人は、事態をなんとかするため、依存症者の行動をコントロールしようと懸命になる。

これをやめて、「飲む飲まないは、本人にゆだねる」というふうに、問題から手を引くこと。
「依存症者を見捨てる」という意味ではない。

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■トゥルーカラーズ True Colors

一人一人の「違い」を前提に、自分自身の魅力や資質をつかみ、人間関係・ストレス対処・自己開発などに活かす体験型プログラム。

アメリカの心理学者カーシーによる4つの気質と行動パターンの研究をもとに、ロゥリーが創始。

日本版はハワード・カツヨ(教育学博士)とアスク・ヒューマン・ケアが開発した。

⇒対人関係とコミュニケーションの講座 TRUE COLORS JAPAN

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■当事者性

社会的弱者や少数者(マイノリティ)に対して、上の立場から救済・援助しようとしたり、外側から分析・論評するのではなく、当事者としての経験・痛み・ニーズを中心に据える考え方。

障害者運動、フェミニズム、性的マイノリティ(LGBT)の解放運動、貧困問題への取り組みなど、さまざまな場面で使われる概念である。
DV被害者の支援においては、被害者が当事者性を獲得する(自分自身が被害を受けたという自覚を持つ)ことが最初の課題とされる。 自助グループは当事者性の上に成り立ち、安全確保のためにも当事者性が重要な原則の一つとなっている。

なお、「同じ体験をしていない人にはわからない」という体験至上主義や集団の閉鎖性を防ぐため、各当事者グループが立場や感じ方を認め合うこと、専門性・客観性をもった集団との連携、などが課題とされる。

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■トラウマ

大きな衝撃をもたらすような喪失や恐怖体験、虐待などによる心の傷。
トラウマのもととなった体験を心的外傷体験とも呼ぶ。

⇒『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア 自分を愛する力を取り戻す[心理教育]の本』

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■動機づけ面接(MI)Motivational Interviewing

考え方や行動の変化を促すための面接スタイル。

1980年代、問題飲酒への行動療法アプローチの中で始まり、90年代に臨床技法として体系化された。
クライエントのアンビバレンツ(本当に望んでいるものと現実の行動との矛盾など)に焦点を当てるような「聞き返し」をはじめ、変化を促すために効果が認められたカウンセリングのスタイルの集大成でもある。

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■ドライドランク

「しらふの酔っぱらい」の意味。
酒をやめていても、飲酒していた頃と同じような思考パターン・行動パターンになっている状態。

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■内観療法

浄土真宗一派の修養法「身調べ」から宗教色を排除して生まれた療法。

刑務所などでの導入を経て、1960年代から精神医療の現場で心理療法として導入されるようになった。
内観とは、自分の内面を観るという意味。

一週間かけて行なう「集中内観」と、短時間で継続して行なう「日常内観」がある。
びょうぶや衝立で仕切った空間に座り、指導者の指示のもとで母親、父親などの順に「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」を振り返り、気づきや洞察を深める。

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■ナラティブ・セラピー

独自の世界観と哲学にもとづく療法の集成。ブリーフセラピーの一種とされる。

ナラティブとは「語り」を意味する。
適切な質問を投げかけて、問題解決や成長の力となる語りを引き出すことにより、クライエントの人生を支配してきた物語(ドミナント・ストーリー)を、新たな物語(オルタナティブ・ストーリー)に書き換えていく。

「客観的な真実というのは存在せず、現実は人々のコミュニケーションの相互作用によって構成される」という社会構成主義(ポストモダンの考え方)が基盤にある。

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■認知行動療法

物事の解釈(認知)を修正することで、行動の変容をはかる心理療法。

1970年代における認知心理学の発展が背景にある。
ある出来事に対して「認知→感情や身体の反応→行動」という一連のプロセスのうち、感情や身体の反応は自分ではコントロールできないが、「認知」と「行動」は自分で変えることが可能である。

とはいえ認知は長年の習慣を背景に、自分でも意識していない「自動思考」となって感情を引き起こし行動に直結することが多い。
そこで、認知を洗い出して検討し、問題となる行動を引き起こす解釈(自虐・他罰・過剰な期待・根拠のない決めつけなど)を、適応的なものに修正していく。

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■ハイヤーパワー

自分を超えた力。

「12のステップ」を使う自助グループでの重要な概念。
自分の力ではどうにもならない問題を手放し(ステップ1)、ハイヤーパワーにゆだねる(ステップ2)ところから回復のプログラムが始まる。

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■発達障害

脳の微小な機能のアンバランス(発達の「でこぼこ」)による日常生活の支障が、低年齢で現われるもの。

脳の特性なので、本人の努力の問題ではなく、心の持ち方の問題でもない。

なお、発達障害ではないことを「定型発達」と呼ぶ場合がある。

発達障害には以下のようなものがある。
⇒自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害=関係性の問題
⇒注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(AD/HD)=行動上の問題
⇒限局性学習症/限局性学習障害=学習面から見た認知の問題
⇒発達性協調運動症/発達性協調運動障害=運動の問題

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■発達性協調運動症/発達性協調運動障害=運動の問題

発達障害のひとつで、手足の麻痺等はないにもかかわらず、協調が必要な動作が苦手で、ぎこちなくバランスがとれない。
日常の動作や運動が困難。

⇒発達障害

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■ハーム・リダクション

薬物使用などの完全中止を必ずしもゴールとせず、使用による個人や社会への弊害(ハーム)の低減(リダクション)を目的とした実践。

薬物使用者のHIV感染拡大を防ぐため、1980年代にアムステルダムで始まった注射針交換プログラムや、市中における薬物使用に代わってコントロールされた医療下でメタドンや医療用ヘロインを使用する置換療法など。

そのメリットとして、不慮の事故・感染症・犯罪リスクの減少、救急医療の利用頻度や医療費の減少、専門治療・支援のチャンスが得られるなどが挙げられる。

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■バーンアウト

過酷な状況でがんばっていた人が、心身の消耗の限界に達し、意欲の減退・ストレス性の身体症状・感情の枯渇・自己嫌悪・思いやりの喪失・うつなどさまざまな兆候が現われた状態。

⇒バーンアウト症候群とは?

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■パニック発作

強い不安と同時に、激しい動悸・息苦しさなどの症状をともなう。実際の危機や、心臓などの疾患がないのに、いわば「脳の誤作動」により発作が起きるのが特徴。
これが繰り返されるのがパニック障害。

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■パーソナリティ障害

アメリカ精神医学会の診断マニュアル(DSM)におけるカテゴリの一つ。

かつては人格障害と訳されていたが、人格そのものを否定するかのようなニュアンスがあるため、日本精神神経学会が訳語を改めた。

認知・感情のあり方・対人機能・衝動制御などが、その人の属する文化が期待するものと著しく異なった様式を持つことで、苦痛と社会生活上の困難を引き起こしている状態のこと。
妄想性・反社会性・境界性・演技性・自己愛性・強迫性などのパーソナリティ障害があげられている。

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■否認

都合の悪い事実や、自分の問題を認めようとしないこと。

依存症は「否認の病気」とも言われる。

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■否認の種類

アルコール・薬物依存症者の否認は、次のようなパターンとして現われる。

*単純な否認 事実を指摘されても認めない。
酒(薬物)の話題が出ると話をそらす。無視する。

*過小評価
いわゆる「酒飲み」であることや、薬物使用自体は認めても、それによって生じている問題の大きさを認めようとしない。

*合理化
「ストレスがたまっているから飲む」「大麻はタバコにくらべて害がない」「疲れをとるのに必要だ」など、自分の飲酒・薬物使用を正当化する理由をつける。

*一般化
「男なら誰だって」「昔と違って最近では」など、話を一般化することで個人の問題から焦点をそらす。

*攻撃
「うるさい!」「あなたにわかるものか!」など、自分の不安・恐れ・当惑を相手への怒りにすり替える。

*退行
「もう私はダメだ」「誰もわかってくれない」など感傷の世界に閉じこもることで大人として問題に直面するのを避ける。

*投影
「どうせ私のことをどうしようもない人間だと思っている」「このまま飲んで死ねばいいと思っているんだろう」など、自分自身の不安を相手の評価であるかのように置き換える。

(ASKアルコール通信講座 より改編)

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■ビッグブック【NEW】

AAの基本テキスト『アルコホーリクス・アノニマス』の愛称。
なお、NAの『ナルコティクス アノニマス』はホワイトブックと呼ばれる。

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■ビンジ・ドリンキング

短時間に酩酊に至る量を飲むこと。ドカ飲み、暴飲。

欧米では一度に純アルコール60グラム程度(日本酒三合にあたる)かそれ以上飲むことを指し、酔いによる事故・暴力・急性アルコール中毒などを引き起こすとして対策が求められている。

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■ファースト・クライエント

家族内の問題を初めて外部に相談して支援を求めた人。相談機関や治療・援助機関に最初につながった人。

依存症は「否認」を特徴とするため、依存症者が自ら治療・援助を求めることが少ない。
また、家族としての防衛システムが働いて、問題のある状態でなんとか均衡を保ち続けようとする。
この均衡を破って助けを求めた人に対する対応が重要とされる。
すなわち、苦しみを受けとめること、支援と教育、家族システムへの介入である。

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■フェローシップ【NEW】

12ステップ・グループで使われる用語。
仲間との一体感のこと。
また、ミーティング後に仲間同士でおしゃべりしたりお茶を飲んだりする時間という意味でも使われる。

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■フォーカシング

アメリカの臨床心理学者・哲学者、ユージン・ジェンドリンが創始。
1970年代末から日本に紹介された。

身体の中にある「感じ」に焦点をあて、観察し、味わうことで、変化へとつながる「気づき」を促す。
臨床技法としてだけでなく、自己理解のための方法としても広まっている。

⇒セミナー フォーカシング入門

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■複雑性PTSD

子ども時代の虐待(中でも性的虐待)やDVなど、慢性的に繰り返される心的外傷体験によるストレス障害。

ジュディス・ハーマンが提唱した。解離や麻痺を主症状とし、感情調節や対人関係の困難、自己破壊的行動など。
境界性パーソナリティ障害との関連性も指摘されている。

なお、ヴァン・デア・コークが提唱したDESNOS(Disorder of Extreme Stress not otherwise specified=他に特定されない極度のストレス障害)も、ほぼ複雑性PTSDに重なる概念。

*DESNOS:診断基準の試案
A.感情覚醒の統御における変化
(1) 慢性的な感情の制御障害
(2) 怒りの調整困難
(3) 自己破壊行動及び自殺行動
(4) 性的な関係の制御困難
(5) 衝動的で危険を求める行動

B.注意や意識における変化
(1) 健忘
(2) 解離

C.身体化

D.慢性的な人格変化
(1) 自己認識における変化:慢性的な罪悪感と恥辱感、自責感、自分は役に立たない人間だという感覚、取り返しのつかないダメージを受けているという感覚
(2) 加害者に対する認識の変化:加害者から採り込んだ歪んだ信念、加害者の理想化
(3) 他者との関係の変化
 (a)他者を信頼して人間関係を維持することができないこと
 (b)再び被害者となる傾向
 (c)他者に被害を及ぼす傾向

E.意味体系における変化
(1) 絶望感と希望の喪失
(2) 以前の自分を支えていた信念の喪失

(『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア 自分を愛する力を取り戻す[心理教育]の本』 より)

⇒PTSD

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■フラッシュバック

過去の外傷体験が、まるで今、目の前で起こっているかのように感じられ、心身が反応してしまうこと。
また、薬物依存症者が薬物使用を中止した後、使用時のような幻覚等の症状が再び現われることも指す。

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■ブラックアウト
酩酊時の記憶が欠落すること。そのときには意識を保って行動しているにもかかわらず、あとから振り返ると覚えていない状態。依存症の症状とは限らないが、依存症者が頻繁に経験する。
なお、世良守行氏らの調査(2011)では、依存症者の記憶欠落は酩酊時に限らないことがわかっている。通院中の患者の33%が「ほとんど覚えていない時期がある」と回答し、うち66%つまり全体の約22%が「1年以上の記憶がない」と答えた。5年、10年という記憶の空白を抱える患者も少なくないため、断酒とともに「年齢相応の常識的な行動」を求められる不安とストレスは大きく、サポートが必要な課題であると世良氏は指摘する。
(『Be!』127号 記事)
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■ブリーフ・インタベンション(簡易介入)

生活習慣の行動変容を目的とした、主に1、2回で終結するカウンセリング。

飲酒問題の場合、まずはスクリーニングを行なって、問題飲酒には減酒支援の簡易介入を行ない、依存症の疑いがあれば専門医療機関につなぐ。

⇒SBIRT

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■ブリーフセラピー

1980年代からアメリカで盛んになった療法の総称。短期療法と訳すこともある。

問題の原因ではなく、クライエントが「どうありたいのか」に焦点を当てること、クライエント自身の中に問題解決の力があるという前提に立つことが特徴。
多くの流派があるが、現在はソリューション・フォーカスト(解決志向)アプローチが代表的。

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■平安の祈り

「12のステップ」を使うグループのミーティングで唱えられる、次のような言葉。
「神様 私にお与えください。自分に変えられないものを 受け入れる落ち着きを、変えられるものを 変えていく勇気を、そして二つのものを 見分ける賢さを」

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■マインドフルネス【NEW】

仏教の概念がアメリカなど西欧の心理的実践として広まり、逆輸入されたもの。
自分の内的な体験に目を向け、善悪や正誤といった価値判断をせずに、ありのまま感じるような態度。
あるいは、そうした態度を身につけるためのさまざまな実践。

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■松村春繁【NEW】

1958年に高知県断酒新生会を結成し、その後、全日本断酒連盟(全断連)の初代会長となる。全国行脚して断酒会を広めた。
没後、53ヵ条の「松村語録」が作られ、全断連のガイドブック『指針と規範』のもととなった。

⇒書籍『松村春繁』

■見捨てられ不安

自分にとって大切な相手から拒絶されるのでは、承認や愛情を受けられないのでは、という強い怖れ。

その不安に駆られ、相手の言いなりになったり、相手の考えや行動をすべて知ろうとしたり、相手の気持ちを試したり、結果的に関係を壊すようなパターンになりやすい。

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■未成年者飲酒禁止法

1922年に成立。未成年者の飲酒禁止、親権者や監督代行者が未成年の飲酒を知った場合の制止義務、未成年者への販売・供与の禁止を定める。

2000年の改正で販売・供与の罰金が50万円に引き上げられ、2001年の改正で営業者の年齢確認義務が定められた。
親権者等の罰則は科料(1万円以下)、飲酒した未成年への罰則はない。

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■ミーティング【NEW】

12ステップ・グループの、定期的な集まり。
さまざまな種類がある。
「クローズド・ミーティング」はメンバーのみ。
「オープン・ミーティング」はメンバー以外も参加できる。
「ビジネス・ミーティング」は運営に関わる話し合いを含む。

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■メッセージ

「12のステップ」のステップ12にあたる。

12ステップ・グループのメンバーが、さまざまな場所に出向くなどして、自分の体験と回復の希望を伝える活動。

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■もえつき・燃え尽き症候群 バーンアウト

過酷な状況でがんばっていた人が、心身の消耗の限界に達し、意欲の減退・ストレス性の身体症状・感情の枯渇・自己嫌悪・思いやりの喪失・うつなどさまざまな兆候が現われた状態。

⇒バーンアウト症候群とは?

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■森田療法

大正時代に森田正馬が創始した、神経症に対する療法。海外にも広く紹介されている。

不安や恐怖などの「症状」をなくすのではなく、感情は「あるがまま」に放任し、目的本位で行動することを重視する。
集団学習を行なう「生活の発見会」がある。

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■薬物報道ガイドライン【NEW】

依存症関連の市民団体・当事者団体・専門家らが結成した「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」と、評論家・編集者の萩上チキさんが協力して作成し、メディアに対し対案する記者会見を2016年7月に行なった。

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■山型飲酒サイクル

連続飲酒発作の後で、身体がアルコールを受け付けなくなり、数日~数ヵ月間飲まない(飲めない)状態が続いて、再び飲み始め、連続飲酒になるサイクルのこと。

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■酔いの段階

アルコールによる酔いとは、すなわち「脳のマヒ」。
次のような段階をたどってマヒが進んでいく。

*ほろ酔い前期(爽快期) <目安>血中濃度 ~0.5mg/ml 呼気濃度 0.25mg/l
「理性」を司る大脳新皮質がマヒし始める。抑制がはずれて、ふわっと爽快な気分になったり陽気になったりする。

*ほろ酔い後期 <目安>血中濃度0.51mg/ml 呼気濃度0.250.5mg/l
大脳新資質のマヒが進んで、気分が高揚し、気が大きくなる。判断力が低下、不注意によるミスが起きやすくなる。

*酩酊 <目安>血中濃度12mg/ml 呼気濃度0.51mg/l
大脳新皮質だけでなく、「感情」を司る大脳辺縁系や、「運動」をつかさどる小脳にもマヒが広がる。感情の起伏が激しくなり、からんだり、ろれつが回らなくなる。バランス感覚を失って千鳥足になり、転落・転倒事故も起きやすい。

*泥酔 <目安>血中濃度23mg/ml 呼気濃度11.5mg/l
酔いつぶれ、自力で立てない。大脳・小脳がマヒし、「生命の中枢」脳幹にまでマヒが及び始める。吐物をのどに詰まらせたり、外で眠りこんで事故にあう危険性も高く、絶対一人にしてはいけない。様子がおかしいと感じたら病院へ。

*昏睡 <目安>血中濃度34mg/ml 呼気濃度1.52mg/l
「生命の中枢」である脳幹のマヒがすすみ、呼んでも揺すってもつねっても反応しない。意識がない状態で大いびきをかく場合も。すぐに救急車を呼ぶこと。

飲酒運転防止インストラクター養成講座 より)

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■ライフスキル

健康な生き方を支える心理・社会的な技術。

WHO(世界保健機関)では、日常のさまざまな問題に健康的に対処するため必要なスキルとして、次の10項目をあげている。

意思決定/問題解決/創造的思考/批判的思考/効果的コミュニケーション/対人関係/自己意識/共感性/情動への対処/ストレスへの対処

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■来談者(クライエント)中心療法

内面ではなく行動に焦点をあて、望ましくない行動習慣を適応的なものに修正する心理療法。

動物実験をもとにした「条件付け」の学習理論を中心に、1950年代に療法として確立した。
行動を引き起こす刺激を減らす刺激統制法、刺激に慣らして反応を減らす暴露療法、望ましい行動に報酬を与える報酬学習などがある。

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■ラウンドアップ

12ステップ・グループで、全国の仲間が集まって交流を深めるイベント。
薬物依存症の自助グループ「NA」ではギャザリングという。

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■ラブ・アディクション/恋愛依存

恋愛関係に限らず、「愛することへの耽溺」を広く指す。

たとえば、子どもへのしがみつき、憧れの相手へのつきまといなど。
いずれも、愛情の対象となる相手との危険でアンバランスな関係を生み出す。

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■離脱症状

アルコールなどの薬物が身体から抜けていくときに現われる症状。

アルコールの場合、飲酒を中断して数時間~半日後から、発汗(特に寝汗)・微熱・不眠・焦燥感・手の震え・下痢・吐き気・動悸などが現われることがある(早期離脱症候群)。

さらに、大量に飲み続けたあとで飲酒を中断して2~3日後、全身の震え・ひどい発汗・興奮・幻覚・見当識障害(自分が誰で、今がいつで、どこにいるのかわからない)が出現することがあり、「振戦せん妄」(後期離脱症候群)とも言われる。

振戦せん妄は、場合によって生命の危険があり、医学的管理が必要。

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■リフレーミング

物事を見るときの解釈の枠組み(フレーム)を変えること。

人は必ず何らかの解釈を通して、できごとや、自分自身、周囲の人を見ている。無意識に使っている枠組みを変えることで、見えるものが変わり、その意味付けもマイナスからプラスへ変わり得る。
意味付けが変わればそれに対する行動も変わってくる。

一対一の教育指導やカウンセリング、日常生活にも役立つが、グループをファシリテートするにあたっても欠かせない技法。

グループ参加者の発言をファシリテーターがリフレームすることにより、参加者個人の力を引き出すとともに、場の流れを刺激し、グループダイナミクスを促進できる。

⇒(『Be!』98号 特集)

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■恋愛依存

恋愛関係に限らず、「愛することへの耽溺」を広く指す。

たとえば、子どもへのしがみつき、憧れの相手へのつきまといなど。いずれも、愛情の対象となる相手との危険でアンバランスな関係を生み出す。

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■連鎖握手

断酒例会の終わりに、両隣の人と手をつなぎ、「もっと強く もっと賢く もっと真剣に やろう やろう やろう」と言いながら、つないだ手を振る。

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■連続飲酒(発作)

飲んでうつらうつらし、目覚めてまた飲み始めるなど、身体からアルコールが抜けない状態が24時間以上続くこと。
アルコール依存症の後期に見られる。

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