落とし穴に落ちないために

医療・保健・福祉・介護・教育など「人を援助・治療・指導」する仕事には、やりがいと同時に、リスクも伴います。適切なスキルを学ばないまま続けていると、対象者にとってよい援助ができないだけでなく、援助者自身にもバーンアウトなど人生上の危機が訪れる危険もあるのです。 にもかかわらず、こうした基本スキルを学ぶ機会や、スーパーバイズを受ける機会が、日本の援助職には決定的に不足しています。 多くの人にとって課題となるのは、次のようなことです。 

セルフケア、自己モニター

まず、自分自身のケアができないと他人をケアできません。 対人援助の仕事を続けていくには、セルフケアの具体的な方法を実践できることが大切です。 また自分が何を感じているか、今どんな状態にあるか、無理をしていないかなどをモニターし、健康的に対処する手段を身につけることも欠かせません。

対象者との適切な境界

時間・空間・感情・責任・尊厳など、各分野の境界を適切に保つことは、対象者と援助者双方の安全を保つ前提条件になります。 援助を必要としている対象者は、しばしば自他境界がわからない状態に陥っています。援助する側が境界設定の多様なスキルを使いこなすことで、健康な境界のモデルを提示することもできます。 また境界を設けることで、援助者は共感疲労やトラウマの二次受傷を防ぐことができます。

自分自身の課題と向き合う

援助のプロセスで、援助者自身の成育歴や喪失体験などの課題が浮かび上がってくることは少なくありません。 それは、特定の対象者や状況への過度な反応あるいは無反応となって現われることも多く、援助の質に大きく影響します。 また、援助の仕事を続けていれば、常にうまくいって感謝されるばかりということなどあり得ません。対象者に怒りをぶつけられることもあれば、対象者が亡くなることもあり、援助者はストレスやグリーフへの対処が必要となります。

スキルアップ

より良い援助を行なうためのスキルを学ぶことは、常に欠かせません。 自分が使えるツールが増えれば「援助の引き出し」が多くなります。 自分の分野に隣接する分野の知識を得ることで、視点が広がります。 そして何より、学ぶことはリフレッシュになり、仲間との出会いにもつながります。

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